カッチンの映画レビューの時間です。
今回レビューする映画は『悪い夏』。
同名小説を映画化した作品で、主演の北村匠海さんをはじめ河合優美さん、窪田正孝さん、竹原ピストルさんに木南晴夏さんなど、豪華キャストが顔を揃えています。
『市役所の生活福祉課に勤める佐々木はある日、同僚から職場の先輩が「生活保護受給者と関係をもっているかもしれない」と相談を受けます。
どうでもいいと思いながらも対象の生活保護受給者のシングルマザー・林野を尋ねた佐々木は、次第に彼女に惹かれていきます。
しかし林野は裏社会の人間と繋がりがあり、佐々木は思いがけず最悪のひと夏を迎えることになり…』
といった感じのストーリーです。
※ここから先はネタバレが含まれますので、未鑑賞の人は鑑賞してから戻ってきてください。
カオス of カオスな『黒い夏』
キャッチコピーに『クズとワルしか出てこない』って書いてあるのを見て、「またまた大げさな~」なんて思いながら観始めたら、たしかに木南晴夏さん演じる古川を除くと、クズとワルしか出てこなかったです。
事の発端は毎熊克也さん演じる高野が、生活保護受給者の林野と無理やり関係を持ったことなわけですが、林野も元々弱みを握られるようなことをしてた事実があるから、この場合ことの発端は林野になるんですかね。
いや、高野が欲に溺れずに然るべき対応をしてればそれで終わってたはずだから、やっぱり高野がカオスの発端ですね。
高野に関しては同僚の宮田とも関係を持ってたのがまたカオスなんですよね。
こういうどうしようもない男って、現実の世界でも不思議とモテたりするんですよね。
宮田がすぐに上司に報告しないで佐々木に相談してくる時点で、本来は違和感ありありのはずなのに、カッチンは全然気づかずに「悪い奴がいるもんだ」なんて思ってたぐらいでした。
窪田正孝さん演じる金本が高野をハメようとするところまでは、ある意味高野の自業自得だからまだいいと思うんです。
高野だけが痛い目に遭う流れならそこまでカオスにならなかったのに、北村匠海さん演じる佐々木が気づいちゃって、しかも林野に惹かれちゃうからカオス状態に陥っちゃうわけです。
ある意味、この時点だけでいえば、佐々木と宮田が金本の魔の手から高野を救ってるんですよね。
ただ結局高野は佐々木に退職するように促されて、すべてを失って金本にコキ使われるから、辿る運命はそんなに変わらないんですけどね。
林野と関係を持ったことで佐々木は金本の言いなりにならざるを得なくなるわけですけど、元々ストレスを溜めながら波風立てないように真面目に仕事をしていただけに、この状況は相当辛いだろうなって思いました。
しかも仕事以外でも監視下に置かれて、竹原ピストルさん演じる山田とも同居を余儀なくされてますからね。
もしもカッチンがあんな毎日を送れって言われたら…3日が限界な気がします。
「置かれた場所で咲きなさい」なんて名言みたいな言葉があるけど、この時の佐々木に対してそんなこと言えるのかなってよくわからないことを考えてしまいました。
でも上には上がいて、そんな状況にいる佐々木なんかよりも、もっと限界そうな木南晴夏さん演じる古川も登場してきます。
佐々木は市役所にやってきた古川にひどい言葉を浴びせちゃって、結果的に泣くほど後悔して、そこで決定的に壊れるわけですけど、このあたりのシーンは木南晴夏さんも北村匠海さんもネガティブな空気を出し過ぎてて、目を逸らしたくなるレベルでした。
なんかもうやることなすこと全部が悪循環っていうか、ドツボにハマってどっぴんしゃってこういうことなのかなってしみじみ思いました。
終盤まではドロドロドロドロしたカオスだったんですけど、クライマックスでいきなりカオスのビッグバンが起こる感じで、監督的には狙い通りなんでしょうけど見事なまでにめちゃくちゃな事態になってました。
高野に続いて宮田まで加わって、金本が「お前誰だよ!?」って動揺してるのが面白かったです。
しかし高野のどこがいいのかまったくわからないカッチンは、恋をすると視野が狭くなるとはこういうことか…って感じでした。
宮田も充分狂ってるんですよね(笑)
金本の彼女的存在の梨華は、演技が上手いってことなんでしょうけど、観ててめちゃくちゃムカついてました。
ああいう立ち位置の人間って学生時代とかによくいた気がします。ボスっぽいキャラに気に入られてるだけで自分では何もできないのに偉そうにしてる様子が超リアルでした。
最終的に思いっきりケガするわけですけど、ちゃんと自業自得って感じでした。
ラストの竹原ピストルさん演じる山田が逃亡してるってオチも、ものすごくピッタリな感じでいいんですよね(笑)
あいつめちゃくちゃ1人だけ逃げそうですもん(笑)
土砂降りの中のシーンは、正直なんだかよくわからなくなってましたけど、たぶんそれでいいんだろうなって思って観てました。
キャストの演技が光る映画
『悪い夏』は出演者全員がドロドロしたテイストを損なわない見事な演技を披露してくれてました。
中でも主演の北村匠海さんの死んだ目の演技のインパクトは半端じゃなかったです(笑)
北村匠海さんって元々目が印象的な俳優さんですけど、中盤以降の目の力のなさ具合はなかなかできるもんじゃないと思います。
表現力に圧巻でした。
そういえば『愚か者の身分』でも目にまつわる役柄を演じてましたね。
河合優美さんも物憂げな感じといい、どこか人生を諦めている林野を好演してました。
この方は演技といいビジュアルといい唯一無二って感じの女優さんで、人気があるのも強く頷いちゃいます。
綺麗な女優さんってタバコが似合わない人が多いんですけど、河合優美さんはしっかり似合ってて、このあたりの役づくりもさすがだなって感じました。
金本を演じた窪田正孝さんは重要なキャラを演じただけじゃなくて、作品の土台を担う役割もしっかり果たしてる印象でした。
知名度も演技力もキャリアも全ての面で、窪田正孝さんが出演するかしないかでこの映画の立ち位置が大きく変わってた気がします。
窪田正孝さんってリラックスしてる芝居の中で相手に恐怖を与える演技が得意な印象なんですけど、『悪い夏』でもその演技を見せてくれてました。
窪田正孝さんの芝居を受ける竹原ピストルさんも素晴らしかったですね。
もう「こいつズルそうだな~」っていう空気がめちゃくちゃ出てて、笑顔にすらズルさが滲み出てる感じでした。
『サンセット・サンライズ』って映画でも素敵だったんですけど、竹原ピストルさんって歌手ですよね?なんでこんな演技上手いんですかね?
そして「どうしちゃったの!?」っていうぐらい衝撃だったのが、木南晴夏さんです。
メイクの力もあると思うんですけど、ヘタしたら「木南晴夏さんに似てる人かな?」って思っちゃいそうなぐらい別人みたいでした。
北村匠海さんと市役所で面談するシーンは見てて胸がエグられる思いでした…。
毎熊克哉さんや伊藤万理華さんも素敵な演技でカオスさを増してくれてましたし、特に毎熊克哉さんってこういう役上手いな~ってしみじみ思いました。
妙にリアルだったんですよね(笑)
不快感をマックスにする見事な演出
『悪い夏』っていうタイトルだけあって、不快感を与える表現に『暑さ』がものすごく多用されてました。
序盤の竹原ピストルさんの家に北村匠海さんが来てるシーンから、観てるこっちまで蒸し暑さでジメジメしてくる感じで、林野の家で巻き起こる出来事も「よくそんな暑い中でする気になるな…」ってカッチン的には思っちゃいました。
夏の暑さの表現が観客に与える効果は確実にあったと思いますし、最大限に活かした演出も見事でした。
しかも伝わってくるのがカラッとしてない、ジメジメした暑さなんですよね。
それがまたいい意味で不快でした。
佐々木と林野の恋愛は悪い事?
佐々木は林野との関係を金本に弱みとして握られたわけですけど、純粋に好きになった結果でもダメなんですかね?
もっと言うと林野は佐々木の担当でもなかったはずだから、出会いは仕事に関連してたけど、それ以外は個人の行動ってことにはならないんですかね?
「言う事を聞かないと…」みたいなことじゃないわけだから、そんなにいけないことなのかな?って思っちゃいました。
佐々木は娘さんとも仲良くなってたし、絶対に隠さなきゃいけないことなのかなぁっていうのはちょっと思いました。
隠さなきゃいけないなら、公園で会ったりして佐々木も脇が甘いですよね…。
親身になる相手は古川だった?
佐々木が親身になったのは林野で、この行動がカオスを招いたわけですけど、よくよく考えてみたら、親身になる相手は木南晴夏さん演じる古川だったんじゃないかなって思いました。
出会う順番というかタイミングが違ったら、起きる出来事も変わってたんじゃないかなぁっていう気がします。
「そうしたら困ってる人を救えて、変な弱みを握られることもなかったのに!」なんてこともエンドロール中に思ってしまいました。
『悪い夏』は最上級のカオスっぷりを見せつけてくれる、退屈感なしのヒューマンサスペンスでした。
正直1回観ればいいかなって気はしてるんですけど、決してつまらないわけじゃなくて、むしろ充分楽しませてもらいました。
みなさんの感想をコメント欄で教えてくれると嬉しいです。
それではまた映画レビューでお会いしましょう。



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