カッチンの映画レビューの時間です!
今回レビューする映画は『TOKYOタクシー』。
家族を持つ個人タクシーの運転手の男の人生が、高齢の女性客を乗せたことで大きく変わっていく感動作です。
大ヒットを記録した映画なので、すでにご覧になっている人も多いのではないでしょうか?
『TOKYOタクシー』はフランス映画の『パリタクシー』を山田洋次監督がリメイクした作品です。
『パリタクシー』という映画は非常に評価の高い作品でして、僕も過去に鑑賞していますが、とっても素晴らしかったです。
さらに木村拓哉さんと倍賞千恵子さんの共演が『ハウルの動く城』以来ということも、大きな話題になりました。
※ここから先はネタバレを含むので、まだ観ていない人は鑑賞してから戻ってきてください!
ビックリするぐらい泣いた…
自分でもびっくりするぐらい泣いてしまいました。
まったく泣くつもりじゃなく鑑賞したので、それも良かったのかもしれません。
周囲のお客さんに迷惑がかかってるんじゃないかって心配になるぐらい泣いてしまって、エンドロール中は思わずエアーで拍手を送り続けてしまいました。
元になった映画『パリタクシー』が素敵な映画だったので、観る前は「果たして超えられるのか?」って疑問を持ってたんです。
ところがいざ鑑賞してみるとですね、そんな浅はかな考えを持っていた自分が恥ずかしくなるぐらい素晴らしい作品でした。
超えるかどうかなんて問題じゃないんですよね。
オリジナル版に敬意を払いながら日本らしさを大切にしていて、なにより山田洋次監督の色がふんだんに出ているリメイクでした。
序盤は過去のことを振り返りながら「昔の方がよかった」的な流れで始まるので、「こういう感じで物語が進んでいったら嫌だな…」って心配になってたんです。
でも、そんな心配は杞憂に終わりました。
しっかりと未来への希望に繋がるストーリーで、観ていて元気をもらうと同時に、何回も言いますけど思いっきり感動させてもらいました。
人生にちょっと疲れてる人とか、生きる意味について考えてしまう時がある人に特に響く映画だと思いました。
この映画を観てから、毎日を大切に生きたくなったんですよね。
ちょっとした出会いとか小さな出来事を大切にしたくなる、そんな気持ちにさせてくれる素敵な映画でした。
山田洋次監督の巧みな演出『振り子理論』
予想外に号泣してしまったわけなんですけど、やっぱり山田洋次監督って観客の感情を揺さぶる演出が抜群に上手いんですよね。
山田洋次監督って喜劇が得意な監督なので当たり前といえば当たり前なんですけど、ユーモアを凄く大切にしてるんですよね。
コミカルな部分を大切にしているから、感動するシーンが来た時の振れ幅が大きくなるんです。
この振り子理論みたいな演出によって、観客は大きく感動させられるんだと思います。
笑うことによって心も体もリラックスしますしね。
『TOKYOタクシー』も思わずクスっと笑ってしまう演出がたくさん散りばめられてて、この緩急が感動をより大きくしてくれてた気がします。
さすが巨匠ですね。
『TOKYOタクシー』キャストそれぞれの感想
そんな山田洋次監督のウィットに富んだ演出を表現するには、出演者の高い演技力が必要になります。
ここからはキャスト1人1人について、少しですけど触れていきたいと思います。
高野すみれ役:倍賞千恵子
木村拓哉さんについては伝えたいことが多すぎるので、後ほど詳しく紹介します。
ということでまずは高野すみれを演じた倍賞千恵子さんからです。
もう見事に作品を引っ張っていました。
1人語りのシーンがとにかく多いので、ここで崩れてしまうと観客が一気に離れてしまうというかなりハードルの高い役だったと思います。
でもですね、やっぱりキャリアが違いますね。
まったく飽きないセリフ回しで、情景をこれでもかと想像させてくれました。
木村拓哉さん演じる宇佐美は、最初はすみれの話しにあまり興味がなかったのに段々と興味津々になっていきます。
この木村拓哉さんの心情の変化に矛盾を感じさせないためには、倍賞千恵子さんの説得力が不可欠なんですよね。
結果的に素敵すぎる演技のおかげで何一つ違和感を感じることなく、映画の世界に没入することができました。
柴又に住んでいる設定も胸アツでした!
すみれ役が倍賞千恵子さんで心からよかったと思います。
宇佐美薫役:優香
木村拓哉さんの妻を演じた優香さんも、山田洋次監督の演出でいつも以上に輝いていた印象でした。
山田洋次監督の作品は、セリフの言い回しが古くさい部分が良くも悪くもあるんですよね。
この独特の言い回しに苦労されている感じは少なからずあったんですけど、家計に切迫されながらも夫と娘を大切に思ってる空気感が自然に出てて、とっても魅力的でした。
すみれさんが買ってくれたお土産のシュークリームをいじけながら食べるシーンなんですけど、僕は山田洋次監督作品をそれなりに観てきているので「鼻にクリームつけそうだな~」って思ってたんです。
そしたら案の定つけてくれたので、なんだか嬉しい気持ちになりました。
こういう予定調和も山田洋次監督映画の醍醐味なんですよね。
でも『TOKYOタクシー』での優香さんのカッチンの1番のお気に入りシーンは、シュークリームのシーンじゃないんです。
共感してくれる人も多いと思うんですけど、すみれさんが残した小切手の金額を見た時のリアクションです!
コントとリアルの間を突いたような見事なリアクションで、このシーンは人目を憚らず声を出して笑ってちゃいました。
志村けんさんと一緒にコントをやっていた経験も活きてたかもしれませんね!
回想シーンのすみれ:蒼井優
波乱万丈な人生を送っているすみれの若き日を演じた蒼井優さんについてですが、もうさすがの一言で、安定感が半端じゃなかったです。
回想シーンに切り替わる時って、ちょっとした違和感が生まれがちだと思うんですけど、切り替わりもすごく自然だったんですよね。
演出の力もあるけど、蒼井優さんがお芝居で魅了してくれた部分も大きいと思いますし、観ていてベテラン女優さんのような安心感さえ感じてしまいました。
実際キャリアも相当長いんですけどね。
現代に若き日のすみれが現れて、現在のすみれの手を握って微笑み合うシーンが蒼井優さんのシーンで1番好きです。
あったかい気持ちになってニコニコしながら観てしまいました。
熱湯をかけるシーンは怖くして仕方なかったですけど(笑)
ああいう静かな狂気を表現するのも本当に上手いですよね。
そして若き日のすみれの悪い旦那を演じた迫田孝也さんと、母親を演じた菅野三鈴さんの演技も素晴らしかったです。
このお2人の演技が、蒼井優さんの演技をさらに輝かせたことは言うまでもありません。
ほかにも笹野高史さんや他のキャストの方たちも本当に皆さん素晴らしかったです。
個人的にはマキタスポーツさんが裁判官役を演じてたのが、そういうイメージがなかったので面白かったです。
型にハマらないでマキタスポーツさんらしく演じてたのも面白かったです。
続いて個人的に映画『TOKYOタクシー』のMVPだと思っている木村拓哉さんについて、少し詳しく触れていきたいと思います。
木村拓哉の凄さを痛感した理由
『TOKYOタクシー』での木村拓哉さんの演技ですけど、本当に素晴らしいの一言でした。
この映画は倍賞千恵子さんと木村拓哉さんのダブル主演ということになるんですかね。
その辺りはわからないんですけど、お芝居を見ていた感じで木村拓哉さんは助演に徹していた印象でした。
この映画での木村拓哉さんは「受けの芝居」が圧倒的に多くて、この「受けの芝居」が本当に素晴らしかったです。
一般的にテレビドラマはセリフを喋っている俳優のアップを映して、映画はセリフを聞いている俳優のアップを映すなんてことが、巷ではよく言われています。
木村拓哉さんといえばテレビドラマのスターという印象が強くて、受けの芝居をする印象があまりなかったんです。
でも『TOKYOタクシー』ではこれでもかっていうぐらい受けの芝居を披露してくれてて、しかもその受けの演技が本当に素晴らしかったんです。
大げさに表情を動かしてるわけじゃないのにしっかり感情が伝わってきたんですよね。
しかも運転しながらっていう制限がある中でリアクションを取ってるんですよね。
すみれさんの話しに段々と引き込まれていく様子も、無愛想な態度から心を開いていく流れもとっても自然でした。
カッチンは木村拓哉さんが『TOKYOタクシー』に出演してくれて本当に良かったと思ってるんですけど、その大きな理由の1つが、山田洋次監督映画の独特なセリフ回しを自分のモノにして、自然に喋ってくれていた点です。
山田洋次監督は現代だとあまり使われていない言い回しをセリフに多用するんです。
カッチンはもともと山田洋次監督の『息子』や『虹をつかむ男』とかが好きで繰り返し鑑賞してるので、山田洋次監督の映画は好きです。
でも久しぶりに『こんにちは、母さん』という作品を観た時に、昔ながらのセリフの言い回しに凄く違和感を感じたんです。
その時のネガティブな印象があったので、実は今回の『TOKYOタクシー』も映画館に観に行くか迷ってたぐらいなんです。
これは山田洋次監督のせいではなくて、カッチン自身が現代のセリフの言い回しに慣れてしまっていることと、この昔ながらのセリフの言い回しを自然にできる俳優が減ってるからだと思います。
それでもやっぱり観たいと思って映画館に足を運んだんですが、木村拓哉さんの演技を見てそんな心配が一瞬で吹き飛びました。
セリフを見事すぎるぐらい自分のモノにしていて、怖いぐらい自然だったんです。
映画に登場する人物の中で、木村拓哉さん演じる宇佐美が群を抜いてナチュラルでした。
実は他のキャストの方でちょっと違和感を感じる時もあったんですけど、木村拓哉さんのナチュラルさがそんな違和感を帳消しにしてくれてる感じだったんですよね。
勘違いしてほしくないんですけど、いくら自分のモノにしているからと言っても、『木村拓哉という存在』が全面に出ているわけじゃなくて、しっかり宇佐美浩二でした。
自分でもびっくりするぐらい号泣してしまった映画だったわけですが、違和感を感じたり醒めるような瞬間がなかったのは、木村拓哉さんのおかげだと思います。
『TOKYOタクシー』は山田洋次監督らしさがふんだんに出ていて、本当に素敵な映画でした。
フランス映画のリメイクですが、ただのリメイクじゃなく、日本の良さがこれでもかと盛り込まれてる傑作リメイク映画に仕上がっています。
木村拓哉さんと倍賞千恵子さんを始めとした出演者の方々の素晴らしい演技も楽しめる作品で、「観て良かった~」って心から思える映画でした。
それではまた映画レビューでお会いしましょう。
カッチンでした。
こちらの映画も素敵なヒューマンドラマでした。



コメント