カッチンの映画レビューの時間です!
今回レビューする映画は『マイ・ルーム』。
若かりし日のレオナルド・ディカプリオとダイアン・キートンにメリル・ストリープ、そしてロバート・デ・ニーロと超がつく豪華キャストが顔を揃えています。
女手一つで息子2人を育てる母・リーの元に、疎遠になっている姉のベッシーが白血病に冒されたという連絡が入る。リーは骨髄移植の適合検査のために息子2人を連れてベッシーの元に急ぐ。
しかし長男のハンクは母親リーに反抗的な態度を続けていて検査を拒否。心を閉ざしているハンクだったが、ベッシーおばさんと触れ合う中で彼の心に変化が訪れて…という感じのあらすじです。
※ここから先はネタバレを含むので、未鑑賞の人は観てから戻ってきてください。
派手さはないけど…これぞヒューマンドラマ
『マイ・ルーム』は派手なシーンがまったくと言っていいほどない映画です。
寝不足の状態で映画館で観たら、たぶん寝てしまう人も出るんじゃないかなっていうぐらい静かな映画です。
でも…めちゃくちゃ素敵な映画なんです。
『マイ・ルーム』のテーマはズバリ『家族』で、もっと細かく言うと『家族の再生』に焦点が当たっています。
親の介護をしながら多くの幸せを望まず、ささやかに暮らす姉のベッシーと、息子2人を女手一つで育てながらも人生を謳歌したい妹のリー。
疎遠になっていた2人の関係の変化が、この映画の大きな見所になっています。
この姉妹の関係性って、自分の気持ちを抑えることが癖になってる姉と、自分のやりたいように生きてきた妹っていう、現実に多くの兄弟や姉妹に存在してる関係性だと思うんです。
お互いにどこかで「自分とは合わない」「タイプが違う」っていう考えがあったり、さらに片方が親の介護をしていることもあって、どんどん疎遠になっていく兄弟姉妹ってかなり多いんじゃないでしょうか。
さらにリアルなのが、この姉妹は何か大きな出来事があって衝突して疎遠になってるわけじゃないんです。
ケンカして連絡を取らなくなったわけじゃなくて、なんとなく疎遠になっていた感じなんですけど、ここら辺もすごいリアルですよね。
ベッシーおばさんはとにかく優しくて太陽みたいな人柄なんですけど、そんなベッシーおばさんに対してハンクが『人間の好意』について話すシーンが、初見の時からとにかく印象に残ってます。
ハンクが「人の好意なんて信じない」理由
ベッシーおばさんとハンクの距離が縮まってきたかに見えた矢先に、ハンクは自分に親切にするベッシーおばさんに対して「僕は人の好意なんて信じない。自分に得がなきゃ」と伝えます。
さらにその後の言葉がなかなかにエグくてですね、「おばさんだってそれで僕らを呼び寄せたんだろ?」みたいなことを言うんです。
つまり「骨髄移植のために僕らを呼んで親切にしてるんだろ?」ってことですね。
さらにハンクは母親のリーについても「母さんは自分のことしか考えない人間だ」って言ってて、姉のベッシーを救うためにすぐに骨髄移植の検査を受けて、息子たちにも受けさせようとしてるのは、姉の白血病が治らなかったら自分が親と姉の面倒を見なきゃいけなくなるからって思ってるんです。
実際にリーは適合しなかったっていう検査結果を聞いて取り乱すので、この言い分はあながち外れてないと思います。
ハンクは大人たちのそんな振る舞いが許せなくて、検査を受けるのを拒否してたんですよね。
嘘ついたり虚勢を張ったり本当に問題児だけど、純粋なだけっていうのも物凄く伝わってきました。
でもベッシーおばさんの心からの好意を知ったハンクは段々と心を開いていって、そんな2人の関係にリーは最初嫉妬心をメラメラ燃やすんだけど、結果的にこの出来事をきっかけに姉妹は空白の時間を取り戻すことができて…なんかもうベッシーおばさんの優しさがすべてを動かすんですよね。
リーも最終的には覚悟を決めた態度を見せますし。
『マイ・ルーム』のキャッチコピーって「心の部屋を開けたのは、間もなく消えるひとつの命」っていうフレーズだったと思うんですけど、映画を観た後にこのキャッチコピー読むと鳥肌が一気に立っちゃいます。
本音をぶつける大切さ
ベッシーおばさんに嘘ばかりついてたハンクが会話の中で興奮して本音をぶつけるシーンが、この映画の1番好きなシーンです。
学校では悪くて有名で友達もたくさんいてって話してたハンクが、実はいつも1人ぼっちで誰とも喋ってないって打ち明けるシーンは涙なくしては見れないシーンです。
本音で語り合ったのは、ハンクとベッシーおばさんだけじゃありません。
黙って出掛けたハンクに対して、母親のリーが怒りを露わにして「出掛ける時は言いなさい。心配するでしょ」と伝えるシーンも胸がグッとくるシーンでした。
ディカプリオの驚きつつも感動してるリアクションの演技がまたいいんですよね。
あんなに反抗期だったのに素直に「わかった」って答えるんです。
ベッシーおばさんとリーが、ウィッグを作りながら本音で語り合って姉妹の空白時間を埋めていくのを見て、「本音で話すってやっぱり大切なんだなぁ」ってしみじみ思わされました。
家族なんて特にですよね。でも照れくささもあって家族だとなおさら本音で話すのが難しくなるんですよね。
こういう役はディカプリオの真骨頂
母子家庭で育つレオナルド・ディカプリオ演じるハンクは思春期と反抗期のダブルパンチで、自宅に火をつけるわ更生施設に会いに来た母親にガラス越しに体当たりするわのやりたい放題ぶりを発揮しています。
挙句の果てには白血病の伯母を助ける唯一の望みの骨髄移植の検査まで拒絶するわがままぶりを見せるんですけど、この頃のディカプリオはこういう役をやらせると本当に上手いんです!
ある程度の年齢になってからのディカプリオの映画しか観てない人は知らないかもしれないですけど、『ボーイズライフ』や『バスケットボールダイアリーズ』や『太陽と月に背いて』あたりのレオナルド・ディカプリオの思春期の若者役の演技は本当に素敵なんです。
ディカプリオは『ボーイズライフ』っていう映画で、ロバート・デ・ニーロにオーディションで発掘されてるんですけど、『マイ・ルーム』はデニーロが製作にも関わってて、『ボーイズライフ』の撮影中にすでに出演オファーを出してたなんて話しもあります。
デニーロがディカプリオの才能に相当惚れ込んでいたのがよくわかるエピソードですね。
年齢を経てからは大人の演技をするようになっちゃったので、この頃のディカプリオの演技を見れなくなってしまったのが残念です。
心の葛藤を表現する芝居が本当に上手くて、イノセントな見た目ともとってもマッチしてました。
あ!でも『ワン・バトル・アフター・アナザー』は比較的昔のディカプリオっぽい演技が見れた気がします!
『マイ・ルーム』ではメリル・ストリープやダイアン・キートンっていう名優たちと共演を果たしたわけですけど、当時のインタビューでお2人ともディカプリオのことをすごい褒めてた記憶があります。
名優たちの演技に酔いしれる…
『マイ・ルーム』はたしか元々舞台の戯曲を映画化した作品だったと思うんですけど、言われてみると納得というか、俳優の演技がかなり必要とされるストーリーなんです。
冒頭にお伝えしたように派手さがなくて、基本的に会話で物語が進行してしていくので『お芝居で魅せる力』がどうしても必要になる作品です。
製作側もそれを百も承知で演技派の出演者を集めたんでしょうけど…いくらなんでも演技派すぎです(笑)
デニーロもメリル・ストリープもダイアン・キートンもアカデミー賞を受賞してるし、レオもこの時はまだまだ若い時なのに、すでにアカデミー賞ノミネートを経験してますからね。
英語がわからないから本当の意味での演技の上手さはわからないですけど、それでも観てて自然と魅入っちゃう演技を見せてくれてるんです。
キャスティングも絶妙で、ダイアン・キートンとメリル・ストリープが逆の役をやるなんて、映画を観た後には考えられないです。
ていうかダイアン・キートンはあったかい役が上手いし、メリル・ストリープは少々クセのある役が上手いから、2人とも本当にピッタリでした。
ちなみにすでにご覧になった人はご存じだと思いますが、ロバート・デ・ニーロの出番はそこまで多くないです。
でもメリル・ストリープとの掛け合いのシーンとか、少しでもめちゃくちゃ印象に残るお芝居をしててさすがでした。
『マイ・ルーム』は意外と知らない人が多かったりするんですけど、カッチン的にはもっと多くの人に知ってほしい映画です。
キャストもとんでもないし、どうしてもっと有名じゃないのか謎です。
皆さんの感想も気になるので、コメント欄で教えてくれると嬉しいです!



コメント