こんにちは!カッチンの映画レビューの時間です。
今回レビューする映画は『兄を持ち運べるサイズに』。
疎遠だった兄が亡くなったという連絡を受けた主人公が、7年ぶりに兄の元嫁と姪と甥と再会し、てんてこまいな4日間の中で、自分の知らなかった兄の一面を知っていく物語です。
オダギリジョーさんと柴咲コウさんと満島ひかりさんという魅力的なキャストが顔を揃えていて、『湯を沸かすほどの熱い愛』で商業映画デビューした中野量太監督がメガホンを取っています。
中野量太監督は人間ドラマの描き方に定評のある監督ですが、今回の映画も中野量太監督らしさ全開の素晴らしいヒューマンドラマに仕上がっていました。
※ここから先はネタバレを含みますので、観てない人は鑑賞してからご覧ください!
重いテーマを軽やかに演出する妙技
『兄を持ち運べるサイズに』は予告を観た時からずっと気になっていて、公開初日の1番最初の上映で鑑賞しました。
何が言いたいかと言うと、それだけ楽しみにしてたので期待値が相当上がってたんです。
かなりハードルが上がっていたにも関わらず、声を出してしまいそうなぐらい号泣してしまい、軽々と期待値を超えてきた映画でした。
兄が亡くなったことをきっかけに物語が動き出す映画なので、当たり前ですけど重たいテーマの作品です。
こういう映画って終始悲しい雰囲気が漂っていて、出演者の演技も真面目一辺倒になりがちです。
でも『兄を持ち運べるサイズに』は全然違って、演出も俳優陣の演技もとにかく軽やかなんです。
悲しいシーンもたくさんあるんですけど、全然重く感じないしベタベタしてなくてサッパリしてるんです。
カラッとしててしつこさがゼロなのに、観ていてものすごく感動して涙が止まらなくなるんです。
監督の演出の素晴らしさが1番だと思いますが、それを見事に体現してる出演者たちも素敵でした。
オダギリジョーさんと柴咲コウさんと満島ひかりさんが演技が上手いのは百も承知でしたが、子役たちも本当に素晴らしかったです。
感動を倍増させる笑いの要素
普通に笑っちゃうシーンもたくさんあって、このコミカルなテイストが感動するシーンの衝撃をとてつもなく大きくしていました。
ずっと真面目でずっと悲しいテイストが続いて、そこに感動するシーンが来ても意外と感動が薄かったりするんですよね。
ゲラゲラ笑ってリラックスしてるところに、悲しいシーンが来ると落差で思いっきり感動したりするんです。
完全に個人的な意見なので異論もあると思うんですけど、カッチンが映画で泣く時ってそういうケースが多いんです。
中野量太監督はコメディテイストを盛り込むのが上手くて、すごくカッチンの好みなんです。
『見える子ちゃん』の中村義洋監督も、ひとつの映画の中で笑いと感動を入れるのが上手い印象で、とっても好きな監督です。
でもこの演出は演技力が高い俳優じゃないと成立しないんですよね。
『兄を持ち運べるサイズに』の出演者は高い演技力で最高に楽しませてくれたので、今回はメインの3人についてそれぞれ解説していきたいと思います。
理子を演じた柴咲コウの演技
オダギリジョーさん演じる世間一般で言うとダメな兄を持つ理子を演じた柴咲コウさんですが、元々好きな女優さんっていうこともあるんですが、すごく素敵な演技で魅了してくれました。
柴咲コウさんって顔がとにかく整ってて超美人だから、普通だったら天然キャラが合わないと思うんです。
でも理子は新幹線の中で平然と分骨を初めてしまうぐらい天然なのに、柴咲コウさんが演じてて何の違和感も感じなかったんですよね。
母親に愛されてた兄に対して嫉妬心を持ちながらも、どこか逆らえない雰囲気もまとってて、母親のお葬式の後にお金を無心されるシーンは妙にリアルで胸が痛かったです。
兄が亡くなった連絡を受けた時は家族が気味悪がるほどケロリとしてたのに、兄の家の後片付けをする4日間の中で知らなかった兄の一面を知ったり、自分が作り上げた想像の兄と話すことで気持ちが変化していく様子を、もう見事としか言えないお芝居で見せてくれていました。
最後に自宅の最寄り駅で迎えに来た家族と対面したシーンでは、柴咲コウさんと一緒にカッチンも号泣してしまいました。
柴咲コウさんの出演作はたくさん観てるつもりなんですが、この映画の中で柴咲コウさんは見たことない歩き方してたんですよね。
完全に理子になりきっているというか、普通にスクリーンの中に理子が存在してるって感じでした。
『でっちあげ』で怖すぎる母親を演じてた女優と同じ人とは思えないほど、全然違いました。
加奈子を演じた満島ひかりの演技
満島ひかりさんは兄の元嫁の加奈子を演じていましたが、この役は自分自身も色んな葛藤を抱えると同時に、理子に気付きを与える超重要な役でした。
理子の手記が出版されて映画化してるので、主人公は理子ということになると思うんですけど、映画を観ると加奈子を含めてみんなが主役の物語なんですよね。
満島ひかりさんは離婚後に離れて暮らしてた息子の件もあって、感情的になるシーンが1番多い役だったと思います。
元夫が亡くなったこともショックだし、夫に引き取られてた息子が自分と暮らすことを望んでくれるのか?など、葛藤に苦しむ役を好演していました。
加奈子は本当に大変な状況に置かれてるのに、満島ひかりさんが演じてるおかげで凄く明るくて、悲壮感が全然なかったのが良かったです。
緊張したり苦悩したり泣いたり大笑いしたりと大忙しの役だったけど、演技に引き込まれて一緒に同じ感情を味わっている感覚になりました。
1番好きなシーンは、離れて暮らしてた息子に「一緒に住もう」って言葉をかけるシーンです。
泣かないよう涙をこらえてるんですけど、どんどん溢れてきてしまって、答えを聞いた瞬間に泣きながら微笑む満島ひかりさんの表情を見て、一緒に微笑みながら泣いてしまいました。
泣かないように頑張ってるのに泣いちゃう演技って、すごく心に響くんですよね。
現実の世界でも泣く時ってだいたい我慢しようとするから、リアルさが半端じゃなかったです。
終盤以降は特に元気いっぱいな加奈子が見られるんですけど、すっごい魅力的なんですよね。
改めて「満島ひかりさんって素敵な女優さんだな~」って思わされた映画でした。
兄を演じたオダギリジョーの演技
世間一般の常識で言うと、どうしようもない兄を演じたオダギリジョーさんですが、もうさすがの一言でした。
憎らしくなって当然の役だと思うんですけど、どこか憎めないというか…それどころか愛らしいキャラクターにすらなってました。
登場人物の中で1番コミカルに演じてたと思いますが、締めるところはバチって締めるメリハリがすごかったです。
妹の理子や元妻の加奈子、息子にもたくさん迷惑かけたのは間違いないんですけど、「結果的に嘘になってしまっただけ」「悪気はなかった」っていう兄の人間性が、オダギリジョーさんが演じることで妙に納得してしまうリアリティを生んでいました。
すごいボロいアパートに住んでて、部屋も散らかり放題の大変な状況だったけど、息子は父親のことを全然嫌ってなかったんですよね。
「いや普通嫌うでしょ!」って思ってもおかしくないはずなのに、この部分も妙に納得してしまったというか…「たしかに楽しそうだしな」って思うほどでした。
オダギリジョーさんのお芝居が矛盾を感じさせない説得力を持っていたからだと思います。
なんかもう監督の求めてるものをわかってて、軽々と提供してる感じなんですよね。
そういえば『湯を沸かすほど熱い愛』でも、だらしない役を演じてたから、だらしない役のベテランですね(笑)
兄と加奈子の子供を演じた2人の演技も本当に素敵でした。
『兄を持ち運べるサイズに』は笑って泣けて心温まる傑作映画でした!
観た人はコメント欄で感想を教えてくれると嬉しいです。
それではまた映画レビューでお会いしましょう。
カッチンでした。




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