こんにちは!カッチンの映画レビューの時間です。
今回レビューする映画は『木挽町のあだ討ち』。
予告を観た時から「これは観たい!」って思ってたんですが、劇場公開が終わっちゃいそうな映画を優先してたら、かなり出遅れての鑑賞になってしまいました。
青年・菊之助が木挽町で父親の仇をとったあだ討ち事件は美談として語り継がれていたが、あだ討ちから1年半後、事の顛末を詳しく知りたいと菊之助の縁者を名乗る侍・総一郎がやってくる。
芝居小屋で働いていた菊之助に近しい人物たちと話しているうちに、総一郎は驚愕の事実を知ることになり…という感じの物語です。
かなり良い評判ばかり聞いてたんですが、評判通りというか評判以上に素晴らしい映画でした!
※ここから先はネタバレを含みますので、未鑑賞の人は鑑賞してから戻ってきてください。
鑑賞前にネタバレを知ってしまうと損してしまう映画です。
あえて観客に感じさせる違和感
長尾謙杜さん演じる菊之助と北村一輝さん演じる作兵衛のあだ討ちのシーンが序盤にいきなりあって、鬼気迫る立ち回りで楽しませてくれるんですが、とどめの一撃のシーンが小屋の中で行われて、何が起きたか見せない演出になっていたので、「これは何かあるな」って多くの人が気付いたのではないでしょうか?
というか意図的にプンプン匂わせてる感じで、そのおかげでネタバレがあった時の面白さが増してました。
だいたい北村一輝さんほどの俳優が出演してて、あれだけの出番なわけがないってやっぱり思っちゃいますし(笑)
北村一輝さんが芝居小屋の前を颯爽と歩いてる時に、あだ討ち芝居に加担してる瀬戸康史さんが「あれはここらで有名なゴロツキじゃねぇかー!」みたいなセリフを叫んでるんですけど、ネタバレ前は「ずいぶんわざとらしいセリフだな」って思うぐらいだったんです。
でもネタバレがあった後にこのセリフを思い出すと、めちゃくちゃ笑えてきちゃったんですよね。
たぶん瀬戸康史さんは「わざとらしく言って」って監督から演出されてたんだろうなぁとか考えてしまいました。
実はこのあだ討ちのシーンを演じるのって凄く難しいと思うんですよね。
「野次馬たちを騙すためのガチさ」と、「これは芝居だよ」っていう間を突くお芝居が要求されるわけです。
長尾謙杜さんと北村一輝さんが絶妙な按配で演じてて、ネタバレの後に改めて2人の凄さがわかりました。
長尾謙杜の演技
実は少し前に長尾謙杜さんが出演してる『おいしくて泣く時』っていう映画を観たんですが、すごくいいなって思ってたんです。
でも『木挽町のあだ討ち』の長尾謙杜さんは『おいしくて泣く時』の100倍ぐらい良かったです。
誤解してほしくないのですが『おいしくて泣く時』も良かったんですよ!
でも『木挽町のあだ討ち』が良すぎたんです。
凛としてる表情も素敵で、感情を抑え込んだり解放したりと大忙しの役でしたが、この人のお芝居にかなり胸を打たれました。
顔の綺麗さも菊之助っていう役にすごくハマってる感じだったんですよね。
あだ討ちの大芝居が終わるとみんなと会えなくなるって泣くシーンも感動したし、作兵衛と再会を果たしたシーンもグッときました。
ご本人の演技が素晴らしかったのはもちろんですが、受け止めるベテラン勢の演技がより長尾謙杜さんの演技を輝かせていたと思います。
北村一輝さんはもちろん、高橋和也さんの演技も素敵で強く印象に残ってます。
そういえば高橋和也さんは元男闘呼組なので、長尾謙杜さんの大先輩にあたりますね。
コミカルなシーンの重要さ
『木挽町のあだ討ち』は元々はお上の不正を暴こうとして命を落とすだけでなく、息子と側近があだ討ちで対峙しなければならないっていう、普通に考えたら重たいテイストになりそうな話なのに、すごく軽やかなタッチでストーリーが展開していくのも良かったです。
思わず笑っちゃうシーンがたくさん散りばめられてるんですよね。
北村一輝さんを生かしたままあだ討ちを成立させるってなった後の、渡辺謙さんの歩き方とか佇まい講習とか、生首の模型を作ってる様子のシーンも爆笑するぐらい面白かったです。
作兵衛の生首を間違えて持ってかれちゃった展開もおもしろかったし、取り返すために舞台に上がった渡辺謙さんが高く飛んで叩き斬る立ち回りも面白かったです。
滝藤賢一さんのリアクションも良くて面白さが倍増してました(笑)
菊之助と絡む芝居小屋の面々が素敵で魅力的だから、なおさら面白かったんですよね。
しっかり個性があってキャラが立ってて、さすが芸達者な俳優が集結してるだけあるなって感じでした。
ただコミカルな空気につられて、山口馬木也さんが自分が命を落とす作戦を打ち明けた後に、北村一輝さんに「私の後に命を落としてくれ」って頼むシーンは、「こんなの断れるわけないじゃん!」って思って、全然笑うシーンじゃないのにちょっと笑いそうになっちゃいました。
でもこのシーンの3人の芝居が凄かったから、すぐに物語に集中できました。
山口馬木也さんも素敵でしたね!
冨家ノリマサさんも出演してたから、何気に『侍タイムスリッパー』の2人が出演してるんですよね。
これも全然笑うシーンじゃないんですけど、石橋蓮司さんが出てきた時点で「絶対悪いやつじゃん」って自分の中で確定しちゃって、密かに1人で笑ってました。
柄本佑のキャラクター
柄本佑さん演じる総一郎は、基本的に飄々としてるキャラクターだったんですけど、大真面目になる時とのメリハリがすごくて、カッチン的にはこのキャラクターの選択は大正解だったと思ってます。
肝が座ってて人たらしって総一郎を評してるセリフが劇中にありましたが、まさにそんな感じの男を体現していました。
瀬戸康史さんの背中の傷の事情を聞いた時に、いきなりパキッと切り替わって恐ろしい感じになってたけど、あのシーンも普段のひょうきんな感じとの落差がすごくて、こっちまで一気に緊張しちゃいました。
あのシーンってなんであんなに豹変したんですかね?単純に話を聞いて許せないって思っただけだったんですかね…。
渡辺謙さんたちからネタバレを聞いた後の「世間も私もまんまと騙しやがったな〜」っていうセリフがすごく好きです。
軽やかで本当に見やすかったです。
これまでは柄本佑さんのお芝居を見てもあまり思わなかったんですけど、『木挽町のあだ討ち』を観てて「柄本明さんがやりそうな演技するな」って初めて思いました。
とぼけたりするシーンが特に、柄本明さんがしそうな表情だったりしたんですよね。
作兵衛役は役者冥利に尽きる?
北村一輝さんが演じた作兵衛は聞くところによると、演じたかった俳優がとっても多かったみたいです。
映画を観るとこの話にも超納得ですよね。
北村一輝さんのあまり観ないジャンルのお芝居を見れた感じもありましたし、なにより北村一輝さんの作兵衛が素敵すぎて、何度も感動させられてしまいました。
北村一輝さん自身が「この役は役者人生の転機になると思った」みたいなことを言ってるインタビューも見かけましたが、仰ってる意味が映画を観てよくわかりました。
十分感動してるところに、野村周平さんが籠に乗って芝居小屋を訪れるシーンでさらに泣かせられたんですが、ここでも北村一輝さんのお芝居が光り輝いてました。
最初は「そんなに素顔のまま前出て大丈夫か!?」って心配しちゃいましたけど(笑)
あだ討ちの時に首の模型が見つからなかった時は、そのまま北村一輝さんの首を斬るんじゃないかってハラハラでした。
結果がわかってるのにハラハラしたってことは、長尾謙杜さんと北村一輝さんの芝居が鬼気迫りすぎてたってことだと思います。
そこに正名僕蔵さんが登場するのもまた良かったです(笑)
みんなで飲んで騒げたら…
みんなであだ討ちの大芝居をうって世間を騙すっていうストーリーだとはまったく知らずに観たので、最高に面白かったです。
海外の映画だと大体こういう大仕事をした後って、皆でワイワイ飲んで騒いでエンディングを迎えるっていう流れが多いのに、そうはいかない流れが歯がゆかったです。
菊之助も作兵衛も含めて祝杯をあげられたらどんなに良いかって思わずにいられなかったです。
でも切なさもありつつの喜びを噛みしめる日本的な終わり方も素敵でした。
終わり方も爽やかでとっても良かったです。
カッチンは大満足の映画だったんですけど、皆さんもかなり大満足だったんですかね?
ご覧になった方はコメント欄で感想を教えてくれると嬉しいです。
それではまた映画レビューでお会いしましょう。
カッチンでした。




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