こんにちは!カッチンの映画レビューの時間です!
今回レビューする映画は『クスノキの番人』。
人生に追い詰められて過ちを犯した主人公が、幼い頃に亡くした母親の姉に助けられ、交換条件に神社にある『祈れば願いが叶うクスノキの番人』をすることに。
クスノキの番人になった主人公はクスノキに通う人々と触れ合うことで成長し、クスノキが持つ力の真実にも気付いていき…といった感じの物語です。
東野圭吾さんの人気小説をアニメ化した映画で、謎解きというよりファンタジー色の強い作品です。
でも謎解き要素ももちろんあります。
※ここから先はネタバレを含むので、未鑑賞の人は観てから戻ってきてください。
文句なしでアニメ化成功の良作
過去に東野圭吾さんの原作小説を読んでいたんですけど、映画を観たら自分が怖くなるぐらいすっかり忘れてました。
でもおかげで先がわからなくて映画をたっぷり堪能できたので良かったです。
なんとなくは憶えてたんですけど「佐治さんってなんで鼻歌歌ってるんだっけ?」とか「和菓子屋の息子はなんで受念できないんだっけ?」って肝心なところがゴソっと抜け落ちてました。
もしかしたらカッチンも千舟さんと同じ症状じゃないのか?って思いが頭をよぎるレベルで忘れてました。
ただ原作小説を読んで「すてきな物語だなぁ」って思った記憶があるんですけど、今回映画を観て「ホントに素敵な物語だなぁ」って小説を読んだ時よりも思ったんです。
ファンタジーだから作り手側によって作風がガラッと変わる作品だと思うんですけど、幻想的なシーンもすごくいい感じだったし、映像化に大成功してる印象でした。
観てて普通に泣いちゃうぐらい感動しましたし。
実写よりアニメで正解だった?
アニメじゃなくて実写でよかったのでは?って意見もあるようですが、カッチン的にはアニメでよかったと思います。
クスノキの幻想的な感じを実写で表現するのがとっても難しいと思うからです。
あんな大きな木を実際に用意するのも難しいでしょうし、幻想的な雰囲気をCGで出す感じになることを思うと、アニメでよかったんじゃないかと思います。
主人公の玲斗が千舟さんの想いを受念したシーンも、アニメならでは表現ですごく良かったし。
銭湯で潜ってる時と似てる描写が面白かったです。
東野圭吾さんの原作小説はたくさん映像化されてますが、ガリレオシリーズとか山田孝之さんが主演した『手紙』や『白夜行』は好きなんですけど、原作は面白いのに「あれ?」ってガッカリすることも少なくないんですよね。
今回の『クスノキの番人』を観て、ファンタジー色が強い作品だからかもですけど、「東野圭吾さんの原作ってアニメ化の方が合ってるのでは?」って思いました。
それぐらいカッチン的に魅力的なアニメ化でした。
完璧すぎた声優陣!特に凄すぎた天海祐希
主人公の玲斗の声を担当した高橋文哉さんは、たぶんカッチンはお芝居をちゃんと見たことがないんですが、とっても素晴らしかったです。
ものすごく自然でした。今の若手俳優って本当に器用な人が多いですよね。
「環境のせいにして今まで逃げてきた」っていうセリフも、高橋文哉さんが良かったので凄く響きました。
そして千舟を演じた天海祐希さんは、もう本当に怖いぐらいハマりすぎてました。
声はたしかに天海祐希さんなんですけど、だんだんと天海祐希さんじゃなくて千舟にしか見えなくなってくるんですよね。
ただ度々出てくる「愚かですね」っていうセリフは、素の天海祐希さんの人間力が高いこともあって、なんだか妙に説得力が増してました(笑)
ちょっと『女王の教室』の阿久津真矢が言いそうなセリフですよね(笑)
そして佐治親子の声が大沢たかおさんと齋藤飛鳥さんって後から知ってびっくりしました。
エンドロール見てて「あれ?大沢たかおさん声優やってたの?」って驚いたぐらい、大沢たかおさんらしさがいい意味でなかったんです。
事前に佐治家のお父さん役ってわかって観てたら違ったと思いますけど、知らずに観てる分にはまったく気が付きませんでした。
齋藤飛鳥さんもまったくわからなかったです。ただ齋藤飛鳥さんについてはカッチンがあまり詳しくないせいかもしれません。
でも普通に声優うまかったです。
声の出演をしてる方々、1人残らずみんな素敵でした。
『自分に価値はあるのか?』が重要なテーマ?
『クスノキの番人』には自分自身に対して「自分に価値はあるのか?」って問いかけるシーンがあります。
玲斗は生まれ育ってきた境遇が大きく影響して、すぐに「自分には価値がない」って思う癖がついてるし、自分の認知症を自覚した千舟も「生きてる価値が私にあるのか?」って自分に問いかけます。
自分を厳しく律してきた千舟さんですらそんなことを考えてしまうんだから、きっと多くの人がふと感じることなんだと思います。
玲斗も「育ってきた環境を言い訳にして逃げてきた」って気付いて目覚めるまで、「自分には価値がない」っていう思いにずっと苦しめられてきたわけで。
誰かの役に立つ事でその思いを払拭できると思ったから、佐治さんの娘の優美にもあんなに協力してたのかなって思いました。
ただ優美はかわいすぎるので、あれは誰でも手伝うかもしれません(笑)
録音がバレて咎められた後に苛立ってスマホを投げつける様子は、「やっぱり自分には価値がない」って再確認したからなんでしょう。もちろん実際は価値がないわけがないんですけど。
千舟さんに至ってはずっとバリバリのキャリアウーマンでビジネス面でたくさんの功績をあげてきた人だから、認知症を自覚して老いを意識せざるを得ない状況が本当に苦しいんだろうなって思いました。
素敵な思い出も忘れていって、忘れたことにも気づけない絶望感に打ちひしがれる天海祐希さんの声の演技が凄まじかったです。
誰もが生きてれば、大きいとか小さいとか関係なく誰かの役に立ってるんだってことを、この映画を通して教わった気がします。
人生捨てたもんじゃないなって思ったし、この映画は人生に少し疲れてたり行き詰まりを感じてる人に特に響くんじゃないかなって思いました。
千舟の生き様と贖罪
千舟さんが玲斗に明かした、玲斗の母親でもある妹への想い、幼い玲斗を抱いてる妹と話してるシーンが1番感動したかもしれません。
カッチンは玲斗というよりかは、千舟に感情移入して観てた気がします。
妹にどうしても手を差し伸べられなかった千舟さんが、玲斗を気にかけて後継者に育てあげたのは、贖罪からくる行動だったんだと思います。
祈念って自分のこれまでの人生をすべてさらけ出すってことだから、ものすごく覚悟がいることだと思うんです。
千舟さんはそれほどまでに玲斗に受念してほしかったんですよね。
受念した後の玲斗の行動も素敵すぎました。
取締役の1人が千舟さんの想いをしっかり引き継いでることがわかった時も感動でした。
千舟さんが取締役会に参加できなかった時に怒った玲斗に対して「大人の事情があるんだ」って言ってた意味が、まさか認知症のことだったとは思いもしなかったので、ここも泣いてしまいました。
それにしてもカッチンの原作の覚えてなさが、我ながらすごいです。
和菓子屋の御曹司が実は血縁関係がなくて受念できてなかったってこともすっかり忘れてました。
自分の記憶力が冗談抜きで不安です…。
そのおかげで映画を目一杯楽しめてるから別にいいんですけど…。
もっと掘り下げてほしかった…
映画だから仕方ないことだと思うんですけど、贅沢を言えば和菓子屋の親子の話しとか、佐治家の物語、玲斗のこれまでの人生、千舟さんの生き様なんかをもっと掘り下げて描いてくれてたら、背景が見えてさらに感情移入できてたかもって思います。
でも映画だからある程度の尺に収めないといけないですからね。
『クスノキの番人』は上映時間が113分なんですけど、確かにすごくちょうどいい感じでした。
掘り下げまくって上映時間が4時間近くになっても困るから、うまくまとめられてたのかもしれません。
佐治家の兄が家を出て行った理由がイマイチわからなかったのが残念でした。
芸術家の才能を期待され過ぎてプレッシャーに苦しんでたことはわかったけど。
あ!両親の期待に応えられないって感じて「自分には価値がない」って思ったってことですかね。そういうことか。
あと優美の母親は夫が浮気してると思って病んでたってことでいいんですよね?
事情を聞いた時にビンタしてたけど、ああいう時って安堵して喜ぶんじゃなくてビンタするんだってちょっと驚きました。
佐治家のピアノのシーンはかなり感動したから、もしもっと背景が描かれてたら号泣してた気がします。
それにしても、母親にお兄ちゃんの名前で呼ばれてる弟もつらいですよね。
カッチン的に気になったシーンたち
人生に行き詰った玲斗が悪友にそそのかされて会社の金庫からお金を盗むシーンは、思ってた以上の悪事過ぎて笑っちゃいました(笑)
不当解雇の理由も相当ヤバかったです。
クスノキへの祈念を使って、佐治家の父親の頭にあるメロディを娘の優美に聞かせるっていう発想は普通に「頭いい!」って思っちゃいました。
カッチンが当事者だったら絶対思い浮かばなかった気がする…。
ほかにもたくさん素敵なシーンがあった気がするけど、細かく思い出せないので今日はこれぐらいにします。
『クスノキの番人』は東野圭吾さんの原作なので謎解きの要素でも楽しませてくれたんですけど、それよりも感動の方が断然大きい映画でした。
人生を前向きに生きたくなる作品で、素敵な物語を見事にアニメ化してくれてました。
皆さんの感想もコメント欄で教えてくれると嬉しいです。
最近観たアニメ映画の『花緑青が明ける日に』って作品も良かったです。
それではまた映画レビューでお会いしましょう。
カッチンでした。



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