こんにちは!カッチンの映画レビューの時間です。
今回レビューする映画は『浅草キッド』。
ビートたけしさんが師匠の深見千三郎さんと共に過ごした時間を綴った自伝小説を映画化した作品で、たくさんの笑いを与えてくれながらも最後には号泣させてくれる映画です。
劇団ひとりさんが監督したことでも大きな話題になったNetflixで配信された作品です。
かなり昔にビートたけしさんの原作を読んだことがあったんですけど、本も面白かったです。
柳楽優弥さんや大泉洋さんを筆頭に出演者の皆さんのお芝居が素敵すぎて、映像化に大成功した作品だと思ってます。
※ここから先はネタバレを含みますので、まだ観てない人は鑑賞してからご覧ください。
笑いがあるからこその感動
『浅草キッド』は声を出して笑っちゃうシーンがたくさんあります。
好きな映画なので繰り返し観てるんですけど、初めて観た時はもちろん2回目以降もゲラゲラ笑っちゃうんですよね。
大泉洋さん演じる深見千三郎と柳楽優弥さん演じるビートたけしの掛け合いがとにかく面白いんです。
1番最初に受付のおばさんに口をきいてもらって弟子にしてもらうシーンから、普通の会話なのにめちゃくちゃ面白いんです。
特に大泉洋さんのお芝居がチャキチャキしてて最高なんですよね。
間髪入れずに次々に文句を言っていく様子が無性に面白いんです。
柳楽優弥さんは最初はしどろもどろなんだけど、不思議とバランスが絶妙で本当におかしかったです。
初めてビートたけしが舞台に立ったシーンも、コントが面白くて普通に大笑いしちゃいました。
柳楽優弥さんの初舞台で緊張してる演技も上手すぎるし、大泉洋さんの間とか声の張り方が絶妙すぎるんですよね。
「大泉洋さんって器用だな~」って改めて痛感しました。
そんな感じで笑えるシーンも多いんですけど、その中にふと感動するシーンが入って来るから、小さい出来事でも思いっきり心を揺さぶられるんです。
ビートたけしが代役で初めて舞台に立つ事になった時に、1階の受付のおばさんが凄く喜ぶんです
「よかったじゃない!エレベーターは私が見るから行っておいで!」って送り出すんですけど、この女優さんの演技ももの凄く良くて、もうこの時点でウルってしちゃいました。
深見千三郎がビートたけしのいないところで「ここを潰したらあいつの面倒は誰が見るんだよ」とか「あいつは本物だよ」って言ってたり、自分を捨ててテレビに出て成功しても誇りに思ってる様子とか、他にも感動するシーンがたくさんあるんですけど、いつも何でも笑いに変えてた人が言うからめちゃくちゃ心に響くんですよね。
最後に現在のビートたけしがフランス座を訪れるシーンは、それまで笑いの要素がたくさん詰め込まれていたからこそ、涙腺が崩壊する事態になるんだと思います。
劇団ひとりの得意な演出が炸裂
原作が面白くて出演者の演技が素晴らしいっていうのももちろんなんですけど、劇団ひとりさんって他の監督作を観てても、こういう演出というか構成がとにかく上手い印象で、その巧みな演出が炸裂してました。
シリアスな物語の中にふんだんに笑いの要素を入れて、クライマックスで大きな感動に繋げるのが本当に上手くて、毎回まんまと思いっきり感動させられてます。
『青天の霹靂』もすごく素敵でした。
今回は尊敬するビートたけしさんの自伝を映画化っていうことで、かなりのプレッシャーだったんじゃないかと思います。
劇団ひとりさんの監督作って出演者が全員輝いてて、「おや?」って思うキャストが1人もいないんです。
今回もメインキャストはもちろんですけど、少ししか出番のないキャストも凄く魅力的でしたし、客席でヤジを飛ばしたり、大笑いするお客役の人たちも皆さん演技がリアルで素敵でした。
たぶんエキストラじゃなくて本当の俳優を起用してると思います。
ビートたけしの兄弟子にあたる高山を演じた俳優さんも超素敵でした。
古澤祐介さんっていう俳優さんみたいなんですけど、ビートたけしが師匠にフランス座を辞めるって言った時の「お前どうしちゃったんだよぉ」って動揺してる演技が特に好きです。
楽屋でアイロンかけてる様子とかも異常にリアルでした。
1階の受付のおばちゃんも大好きです。
実力ある役者たちをキャスティングしてる上に、劇団ひとりさんの演出がさらに輝かせてるんだと思います。
もしかしたら現場ではかなり厳しいかもしれないですね。
柳楽優弥に最大限の賛辞を
ビートたけしさんを演じた柳楽優弥さんは、もう本当に素晴らしいの一言でした。
たけしさんのマネは劇団ひとりさんが教えても上手くいかなくて、松村邦洋さんが教えることになってメキメキと上達したみたいです。
松村邦洋さんはとにかく褒めて伸ばすタイプで、劇団ひとりさんは指導する様子を見て勉強になったと何かのインタビューで話してました。
松村邦洋さんは西田敏行さんの『アウトレイジ』のセリフ練習にも付き合ってるんですよね(笑)
目の動きとか首の動きとか姿勢とか、ビートたけしさんに本当に似てました。
でもそれ以上に驚いたのは、柳楽優弥さんが表現するビートたけしさんのシャイな一面でした。
ビートたけしさんご本人って凄くシャイなイメージがあるんですけど、そのシャイな感じを柳楽優弥さんが絶妙に表現してたんですよね。
目線とか間とか空気感から伝わってきて、たけしさんの浅草時代って本当にこんな感じだったんじゃないかって思っちゃうほどでした。
師匠の深見千三郎にドギツイ冗談を言う時の、ちょっと恐る恐るっていう空気感もリアルで、大泉洋さんが乗ってきたことがわかった時に表情が一気に明るくなるのも素敵でした。
ちょっとズレますけど、師匠の指がないくだりの冗談を言った時に、後ろで高山がギョッとしてるのも好きです(笑)
まさに「緊張と緩和」っていう笑いの基本をやってる感じで、それを演じながら柳楽優弥さんが見事に体現されてました。
勝手なイメージなので実際はわかりませんが、柳楽優弥さんご本人もシャイそうなのがいいですよね。
クシャって笑う表情がとにかく素敵で、何度もこっちまで一緒に笑っちゃいました。
ビートたけしさんも鑑賞後に柳楽優弥さんについて、「全部うまかった。タップもうまかった。漫才はヘタだったけど」と笑いを取りつつ絶賛していました。
ここでたけしさんが笑いを取るのが、映画とリンクしてるんですよね。
受けの大泉洋さんの素晴らしさもあってこそですけど、漫才の大会の賞金を渡すシーンも大好きです。
緊張状態からの大泉洋さんの「ひーふーみー」が始まって、安堵した柳楽優弥さんが「数えてんじゃねぇか!」ってツッコむシーンは感動もあって涙浮かべて笑いました。
その後一緒に飲んでる時も帰宅してからも、深見千三郎がすごく幸せそうなんですよね…。
賞金を渡しに来るたけしも、弟子の心意気を買って受け取る師匠も、2人ともとにかく『粋』なんですよね。
たけしをタクシーに乗せた後の「釣りが出たらちゃんと返しに来いよ」っていうのも粋すぎました。
門脇麦とナイツ土屋の底上げ
柳楽優弥さんと大泉洋さんをはじめ本当にすべてに出演者が素敵だったんですけど、門脇麦さんとナイツの土屋さんも素晴らし過ぎました。
門脇麦さんはもはやカッコいい!っていう感じで、堂々としていて酸いも甘いも知ってるからちょっとやそっとじゃ動じないっていう空気感が漂ってました。
屋上でタップの練習をするたけしを見て「いいなぁタケは。これから始まるんだもんね」っていうセリフが切なすぎました。
ステージで歌を歌った時の演技もすごくて、拍手をもらって嬉しそうな顔をした直後の心ないヤジに一瞬強張らせる表情を見て胸が痛くなりました。
フランス座を出ていくたけしを送り出すシーンも良かったけど、1番はツービートの漫才を見に行って泣きながら笑ってるシーンでした。
思い出しても鳥肌が立ってきます。
元々好きな女優さんですけど、『浅草キッド』でもやっぱり最高でした。
キヨシ役を演じたナイツの土屋さんも素晴らしかったです。
メガネの印象があるから、ないと一瞬誰だかわからないんですよね(笑)
たけしの運命を変える役を演じたわけですが、自然だしやっぱり面白さも流石すぎてとっても素敵でした。
たけしと仕方なくラブホテルに泊まってる時に、たけしが「やらせる」ってワードを口にした時のリアクションの演技が特に好きです(笑)
たしかにおちおち寝られなくなっちゃいますよね(笑)
漫才のシーンは柳楽優弥さんがかなりリードしてもらってると思うので、ナイツの土屋さんはこの映画でもっと評価されていい気がします。功労者ですよね。
時代に『取り残される側』と『乗る側』
『浅草キッド』は時代に取り残される側と、時代に乗って昇っていく側の対比をリアルに描いてる作品で、その部分も観ていてつらかったです。
永遠なものなんて存在しないし、決断ひとつで人生が大きく変わるっていう現実も痛感する映画でした。
もちろん脚色はあるにしても、実話なんですもんね。
ビートたけしさんってとにかく色々な人にご馳走したり、お小遣いを渡すことが多いことで有名です。
これって浅草時代にたくさんの人のお世話になったっていう気持ちが強くあって、自分の中で恩返ししきれてないっていう感覚がずっと残ってるんじゃないかなって、『浅草キッド』を観て思いました。
きっと充分すぎるぐらい恩返ししてるんでしょうけど、ご本人の中では足りないって感じてそうというか…。
ラストの現在のビートたけしさんがフランス座を訪れて、昔の仲間たちが話しかけてくるシーンは本当に涙腺が崩壊します。
ビートたけしさんが話しかけてくるかつての仲間と話さない演出もくどくなくて素敵で、さすが劇団ひとりさんって思いました。
ビートたけしさんの表情も映さないんですよね。
そして「芸人だバカヤロウ」からのクシャっとした柳楽優弥さんの笑顔が、もう本当に最高でした。
ビートたけしさんが歌う『浅草キッド』の歌詞も歌声も心に響くし、何から何までロマンに溢れてる映画でした。
皆さんの感想もコメント欄で教えてもらえると嬉しいです。
それではまた映画レビューでお会いしましょう。
カッチンでした。


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