今回レビューする映画は『恋愛小説家』。
強迫性障害に悩まされる売れっ子小説家のメルビンと、行きつけのレストランのウェイトレスのキャロル、そしてマンションの隣人であり画家のサイモンの3人が織りなす大人のラブロマンスコメディです。
この映画で主演のジャック・ニコルソンとヘレン・ハントは、2人ともアカデミー賞主演男優賞と主演女優賞を受賞してます。
2人とも受賞ってなかなか見かけないですよね。
何回観てもラストシーンでつい微笑んでしまう心温まる名作です。
※ここから先はネタバレを含むので、まだ観てない人は注意してください!
めずらしく邦題が素晴らしい映画
『恋愛小説家』は元々のタイトルが『As Good as It Gets』です。
直訳すると「これが最良」「これ以上は望めない」っていう意味みたいです。
映画を観るとラストはかなり幸せそうなので「いや!タイトル合ってるか?」っていう疑問が浮かんでくるんですよね。
なので個人的には『As Good as It Gets』っていう原題はあんまりピンと来ませんでした。
直訳じゃなかったら、実際は絶妙なニュアンスが含まれてるのかもしれないですけど。
邦題の『恋愛小説家』っていうタイトルは、とっても素晴らしいと思ってます。
ジャック・ニコルソン演じるメルビンは売れっ子恋愛小説家だけど、実はリアルな恋愛についてはなんにもわかってないっていうキャラクターなので、タイトルにすごく深みを感じるんですよね。
邦題って「どうしてそうなった!?」っていう失敗例の方が多いイメージなんですけど、『恋愛小説家』は大成功だと思います!
もしも『これ以上は望めない』っていうタイトルだったら、「妥協したのか~」って思って映画の感じ方も変わる気がします。
妥協してるようにはまったく見えないラストでしたし。
『恋愛小説家』っていうタイトルを考えた人に拍手です!
惹かれた理由やタイミングの描写が欲しかった
ジャック・ニコルソン演じるメルビンは行きつけのレストランで、ヘレン・ハント演じるウェイトレスのキャロルだけを信頼してて、他のウェイトレスからのサービスを断固拒否し続けます。
映画だといきなりその関係になってて、どうしてそうなったかが謎なんですよね。
キャロルが他のウェイトレスに比べて優しいとかならわかるんですけど、結構ズバズバ言うし、無理なものは無理って断るんですよね。
映画の中での2人の最初のシーンでも「席を代わりたい」っていうメルビンに対して、キャロルは「無理」って言ってまったく相手にしてないですし。
普通にメルビンが元々キャロルのことを、ビジュアルも含めて気に入ってたってことなんですかね?
思いっきり無視されたりもしてるから、そうじゃないと辻褄が合わないというか…メルビンはリアルな恋を知らないから、自分で好きになってることに気付いてないってことなのかもしれません。
メルビンが「キャロル以外の給仕は受けない」って言い張る理由を、最初にもうちょっと描いてほしかった気もしました。
きっとすでに恋してたってことなんですかね。
どこか憎めないジャック・ニコルソンの凄さ
強迫性障害のメルビンは隣人のサイモンの愛犬をダストシュートに放り込んだり、耳を塞ぎたくなるような悪態をつきまくってるのに、どこか憎めないキャラクターなんですよね。
普通だった思いっきり憎悪の対象になる人物のはずなのに、メルビンの行動を見てるとなぜか嫌いになれないんです。
これはもう完全に、ジャック・ニコルソンの演技が素敵だったからだと思います。
外を歩いてても道路の縁を踏めなかったり、手袋をしないと触れない物もたくさんあったりするんですけど、この時のジャック・ニコルソンの演技がコミカルなんですよね。
しかもやり過ぎずにギリギリのラインで止めてるコミカルさなんです。
表情の変化も面白くて、ジャック・ニコルソンが演じてなかったら前半のメルビンの見え方は全然変わってただろうなって思います。
ケガをした隣人の愛犬を嫌々預かってから、段々愛おしくなっていく様子もかわいかったですし。
ただ愛犬を預かった経緯に関しては、ちょっと見えにくかったんですよね。
毛嫌いしてた犬を預かった理由が見えない
画家の隣人のサイモンが大怪我をして入院することになって、渋々とはいえメルビンがサイモンの愛犬を預かることになるわけなんですけど、急に物分かりよく預かるんですよね。
元々ダストシュートに放り込むぐらい嫌ってたから、家の中に入れるのすら嫌がりそうなものなのに、嫌そうな表情は浮かべるものの結構あっさり了承するのがちょっと違和感でした。
頼んできたのがサイモンのマネージャー的存在の男で、この役はキューバ・グッティング・Jrが演じてるんですけど、腕力では勝てないっていう恐怖から預かったんですかね。
それとも「入院することになってさすがにかわいそうだから…」っていう理由で預かったのか?
でもそんな感情は持ち合わせてない感じのキャラクターで、ここまで一貫してたんですよね。
段々と犬を愛おしく思い始めるメルビンの新しい面を見せるためと、サイモンとの関係を深めるために必要だったから、半ば強引に「犬を預かる」っていうシーンを入れたのかなってちょっと思いました。
犬をレストランに連れて行った時にも、キャロルが犬を気にしてるメルビンを見て微笑んでましたし、このワンちゃんはこの映画で大活躍してるんですよね。
とは言っても犬にピアノを弾いてあげるシーンは大好きです!
サイモンを居候させたメルビンの心理とは?
破産してアパートを追い出されたサイモンを、メルビンが居候させるシーンについてなんですけど、この時のメルビンの真意がどこにあるのかも疑問に思ったんですよね。
この時ってメルビンとキャロルの関係がかなりボロボロだったから、キャロルと関係が良好なサイモンを居候させれば、関係を繋ぎ止めておけるからなのかなって一瞬思っちゃったんですよね。
こんなこと言うとカッチンの性根が腐ってると思われそうですけど…。
でも実際にキャロルは「サイモンを居候させたことに感動した」的なことを言うんですよね。
いや、まさかそんなはずはないですよね。
メルビンはリアルな恋愛は滅法苦手な男だから、駆け引きなんてできるわけないし。
画家としての熱意を取り戻して一からやり直そうとしてるサイモンを応援したい気持ちから、居候させることを許可したんでしょうかね!
明らかにサイモンに対する態度も優しくなってましたし。
きっとそうですよね!
いやでも…キャロルのことについてサイモンがいい相談相手になるからってことも考えられるんですよね。
実際にサイモンに「君は恋をしてるんだ!」って言われてハッとしますし。
でもきっと単なる優しさから居候させたんだと思います。
メルビンの人間性はどんどん良い方向に変化してますし、そう考えるのが自然だしそうであってほしいです!
ディカプリオがあまりに似てきてる!
『恋愛小説家』のジャック・ニコルソンを見てて思ったんですけど、近年のディカプリオってめちゃくちゃジャック・ニコルソンに似てきてますよね(笑)
『ディパーテッド』で共演してた時はあんまり思わなかったんだけど、『ワン・バトル・アフター・アナザー』を観た後だと、「めちゃくちゃ似て来てるな…」って思わずにいられなかったです。
ディカプリオがジャック・ニコルソンのモノマネが得意なのはもちろん知ってるんですけど、もはや普通にしてても表情とか演技の仕方とか凄く似てる気がするんですよね。
単純に顔の系統が同じだからなのかもしれません。
2人とも好きな俳優なので全然いいんですけど、久しぶりに『恋愛小説家』を見て「似てるな~」ってしみじみ思ってしまいました。
眉間にシワ寄せる顔とかそっくりなんですよね。
大人の純粋な恋愛映画
『恋愛小説家』は登場人物たちが大人っていうこともあって、大人が楽しめるラブコメディです。
強迫性障害のメルビンが道路の縁を気にしないで歩いているラストの姿は、何度見ても胸があったかくなってホクホクしてしまいます。
初めて観た時はカッチンがかなり若い時だったはずなんですけど、その時でも充分楽しめた映画でした。
初めて観た時から「素敵な映画だな~」って思ったのを覚えてます。
年齢を経れば経るほど、味のある映画に変化していく気もします。
皆さんの感想もコメント欄で教えてくれると嬉しいです!
今回はある時ふと観たくなる映画『恋愛小説家』のレビューでした。


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