『湯を沸かすほどの熱い愛』ネタバレ感想|衝撃のラストの意味は?タイトルに納得の感動作

邦画

今回レビューする映画は『湯を沸かすほどの熱い愛』

一緒に銭湯を営んでいた夫に失踪され、自分が末期ガンで長くないことを知った母親が『絶対にやっておくこと』を決めて、夫を呼び戻して銭湯を再開し、娘への責任を果たそうと奮闘する感動のストーリーです。

この映画を好きな映画の1本に挙げる人も多い作品。
「すごく素敵な映画だよ」っていう評判はよく耳にしてたんですが、なぜか観てなかった映画です。

こちらの映画は中野量太監督作品なんですが、2025年に公開されたオダギリジョーさんと柴咲コウさん主演の『兄を持ち運べるサイズに』という中野監督の映画が、号泣してしまうぐらい良かったんです。

これは『湯を沸かすほどの熱い愛』も観なきゃと思ったのがきっかけだったんですが、本当に観て良かったです。

評判通りとっても素敵な作品でした。

中野量太監督の映画はまだ2本しか観てなくて、しかも観る順番が逆になっちゃってるんですが、しっかり監督の色が出ていたのも嬉しかったです。

※ここから先はネタバレを含みますので、未鑑賞の人は映画を観てから戻ってきてください!

人生を目一杯生きたくなる映画

宮沢りえさん演じる双葉は末期ガンに冒されてしまって、余命が長くても3カ月という診断を受けたわけですが、もちろん一度はがっつり落ち込んだものの、すぐに『生きてる間にやるべきこと』に取り掛かる姿勢にめちゃくちゃ心打たれました。

杉咲花さん演じる娘が学校でひどい目に遭ってて、「かわいそう…」って思って意識が娘にいってたんですが、もう先が長くないっていう双葉の事実を目の当たりにした時に、学校での出来事がそんなに大きなことに感じなくなりました。

もちろん大変だし、かわいそうなことに変わりはないんだけど、狭かった視野が急に広くなる感じでした。

この作品は簡単に言うと、双葉という女性の生き様というか、人間性を描いた映画だと思います。

家族を始めとした双葉に関わる人たちとの触れ合いのドラマといった感じでしょうか。
めちゃくちゃ簡単に言うとですけど。

病気でだいたいの余命がわかって、その後どう生きるかを選択する映画はたくさんありますが、多くは「残された時間でやり残したことをやろう!」っていうテーマが多いと思うんです。

でも双葉の場合は、残された時間の中で責任を果たそうとする感じなんですよね。

自分のやりたいことっていうか、誰かのためにやっておきたいことをやるんです。

たぶん双葉は本心から自分がしたくてその行動をしてるから、結果的にやりたいことをやってることになるんですけど。

唯一の欲は「エジプトに行ってピラミッドを見たい」って言ったことぐらいじゃないですかね。
でもこれも叶わないことがわかってて言ってるから、やっぱり人のためばっかりなんですよね。

劇中に「いっぱいしてもらったから、双葉さんのために自然と何かしたくなる」ってセリフがあったんですけど、このセリフを聞いた時に感動して泣きながら「自分もそんな風に生きられたら」ってすごく思いました。

この映画を観たその日から、時間を無駄にしたくないって思いましたし、難しいことだけど、誰かのためにもっと行動したいなって意識するようになった気がします。

なにより感動してめちゃくちゃ泣かされたんですけどね。

不思議とクサく感じなかった感動シーン

カッチンが1番泣いたシーンは、ありきたりで申し訳ないですけど、やっぱり病院の前でみんなで人間ピラミッドを作るシーンでした。

双葉さんがピラミッド見たいって言ってたし、オダギリジョーさん演じる夫がみんなに頼み込んででもやりたかったっていう流れも素敵でした。

1人1人が双葉に言葉をかけていった時に、ベロベロに泣いてるところに駿河太郎さん演じる探偵が「僕は人数合わせです!!」って叫んでるシーンで、泣きながら爆笑しちゃいました。

『兄を持ち運べるサイズに』でも泣きながら笑っちゃうシーンがたくさんあったんですよね。

中野量太監督はこういった演出が本当に上手いし、きっと得意なんだと思います。

『僕は人数合わせです!』って叫んでる駿河太郎さんの娘が、横で1人でピラミッドのマネしてるのもかわいくて、ここでも泣きながら微笑んでしまいました。

たぶん普段のカッチンだったら、この人間ピラミッドのシーンで「うわ~泣かせに来てるな~。ここ泣くところですよ~って押し付けてるな~」って思ってたと思うんです。

でも、そんなことまったく思わなかったんですよね。

それどころか多分このシーンで、号泣してる宮沢りえさんよりも泣いてました。

これは監督のこだわりで、一貫してコメディ色を入れているからだと思います。

意図的に重たい空気感を出さないようにしてるんですよね。
そして意外とその方が感動したりするんです。

すっごい素敵なシーンでした。

すべての登場人物がもつ母親への想い

『湯を沸かすほどの熱い愛』は登場人物たちが母親への特別な思い出とか感情を持ってる物語です。

宮沢りえさんは母親に捨てられたというとあれですけど、残されて出ていかれています。

しかも余命僅かの時に探偵に母親の居場所を突き止めてもらって会いに行ったのに、「そんな娘は産んでない」って言われて会ってももらえないというキツ過ぎる関係でした。

犬の置物でガラスを割った時は見ていて「よくやった!」って言いたくなるぐらい、双葉の母親にはモヤモヤしました。

杉咲花さん演じる娘も、まさかの双葉が母親じゃないという事実があって、再会した本当の母親と結果的にいい関係を築くことになりました。

耳が不自由な母親と手話で話すシーンも号泣ポイントでした。

しかも手話を覚えた理由が、「いつか必ず役に立つ時が来るから」って双葉から言われたって明かした時は…こんなの泣かない人いるんですかね。

食事を食べ終わって会計する時に双葉がいきなりビンタしたシーンには驚かされたけど、ここの演出も秀逸だったなぁって思います。

「やたら気にしてるなぁ」って思ってるところに突然ビンタだったから、観てて自分の集中力がグッと上がったシーンでもありました。

杉咲花さんと本当のお母さんの歩き方が似ていた気がするんですけど、気のせいですかね?
意識して似せていたのか?たまたまそう感じただけなのか?どっちなんでしょう?

そしてオダギリジョーさん演じる父親の連れ子の鮎子も母親がいないわけで、お誕生日のシーンはかわいそうで見てられなかったです。

食卓で「いっぱい働くからここに住みたいです」的なことを言うシーンも涙腺やばかったです。
この子役の演技がすっごく素敵なんですよね。

ヒッチハイクで出会った松坂桃李さん演じる拓海も、現在の母親が3人目っていうわけあり家庭で育ってるし、駿河太郎さん演じる探偵の娘も、母親と死別してるんですよね。

そのせいか探偵の娘は双葉に会うと凄く甘えるんです。
その光景がまたとっても素敵でした。

双葉が家族に対して責任を果たそうと決意を固めたのは、きっと自分が捨てられた経験をしているからなんですよね。

改めて、この映画の大きなテーマは『母親』なんだなぁと、強く思わされました。

タイトルの意味と衝撃のラスト

双葉が他界するまでも色んな出来事があって感動させてくれたわけですけど、他界した後も衝撃の展開が続くとは思ってませんでした。

この映画のタイトルは『湯を沸かすほどの熱い愛』です。

タイトルの意味は銭湯を営んでいるからかなぁぐらいに思ってたんです。
実際に家族みんなで経営してる感じでしたし。

まさか双葉を銭湯の釜で火葬して、その火でおこしたお湯でかぞくみんなでお風呂に入るラストなんてまったく想像してませんでした。

霊柩車で河原みたいなところに行って、みんながご飯食べてる時にオダギリジョーさんが駿河太郎さんに「巻き込んでごめんね」みたいなこと言ってたので、「何か良くないことをするのかな」ぐらいは思ってたんですが…。

まさか銭湯の釜で火葬するとは…って感じでした。

しかも全員が平和そうに入ってるんですよね。
鮎子なんて「あったかいね」なんて幸せそうに言ってました。

でもこのシーンで、松坂桃李さんだけはお風呂に入ってないんです。
これは血のつながりがないからなんですかね?他に理由が思い当たらないです。

そして本当のラストの衝撃は、銭湯の煙突から勢いよく吐き出される赤い煙です。

双葉を銭湯の釜で火葬する直接的な描写がなかったから、わからない観客がいないようにあえてわかりやすい演出にしたのかな?って思いました。

さすがに血を表しているわけじゃないと思いますし、個人的には双葉の『熱さ』を表現してたんじゃないかと思います。

もしくは中野量太監督が映画『天国と地獄』の大ファンでやってみたかったとか。
さすがにそれはないですかね(笑)

衝撃のラストに関しては映画ならではのエンディングということで、良かったんじゃないでしょうか?

現実にやったら違法ですもんね。

このラストについては色んな意見があるみたいですが、カッチン的にはそれまでたくさん泣かせてくれた素敵な映画だったので、特に気になってません。

ただ「このラスト最高!!」とも思ってないです(笑)
タイトルの出し方はカッコイイ!と思いましたけど!

『湯を沸かすほどの熱い愛』は、さすが中野量太監督といった感じで感動の中に笑いが散りばめられていて、笑いながら泣ける傑作映画でした。

出演者みんなの演技がとにかく素晴らしくて、泣かせる映画なのにクサさをまったく感じさせない演出も素敵でした。

中野量太監督の他の監督作も観たいと思います。

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