カッチンの映画レビューの時間です。
今回レビューする映画は『今夜、世界からこの恋が消えても』です。
事故が原因で眠る度に記憶を失うようになってしまった少女と、そんな彼女と『1日ごと』の恋を続ける少年、そして少女の親友の3人が紡ぐ切なくも心温まるラブストーリーです。
普段この手の映画には滅多に手を出さないんですけど、知人から勧められて試しに鑑賞してみました。
こういう映画では泣くことがほとんどないんですが、しっかり思いっきり泣かされてしまいました。
想像の遥か上をいく素敵な映画でした。
※ここから先はネタバレが含まれますので、未鑑賞の方は鑑賞後に御覧ください
あの映画に似てないか?と思った最初の印象
冒頭でお伝えしたように、カッチンはこういうジャンルの映画はなかなか観ません。
これまでの経験上、観たところで感動することがあまりなかったからです。
勧めてもらった時も「果たしてカッチンに刺さるだろうか…」という思いが頭をもたげていました。
そんな懐疑的な思いで観始めたにも関わらず、思いっきり泣いてしまう結果になるわけなんですけど…。
福本莉子さん演じる真織が記憶障害であることを知った時は、思わず「これ『50回目のファーストキス』じゃん!」と思ってしまいました。
ちなみにハリウッド版しか観ておらず、山田孝之さんと長澤まさみさんの日本版は観ていません。
実際は『50回目のファーストキス』とは全然違っていて、それどころかいつの間にかそんなことすっかり忘れていて、気づけば映画の世界に没入していました。
他にも『50回目のファーストキス』っぽいなと思った人いるかなと思って少し調べたら、やっぱり結構いましたね。
もしも「似ているからいいや」なんて思って観てない人は、全然違うので観てみてくだいね。
観ないともったいないお化けが枕元に現れますよ。
道枝駿佑と福本莉子の演技
カッチンはこれまで福本莉子さんの演技は映画『室井慎次』や『#真相をお話しします』で観たことがあったんですが、どっちも『今夜、この世界からこの恋が消えても』より後の映画なんですけど、
「演技上手いし素敵な女優さんだなぁ。さすが東宝シンデレラ」なんて鼻の下を伸ばしながら思ってたんですが、カッチンがこれまで観ていた彼女の作品は、2作品とも結構クセのある役を演じていたんです。
今回の映画では事故の後遺症に苦しみながらも前向きに生きる健気な少女を演じていたんですが、すごい合っててあまりに自然でした。
なんだかもう眼差しとか纏っている空気感まで変わってる感じだったんですよね。
これまで観た彼女の作品と比べて完全に別人で、普通に驚くレベルでした。
真織の恋人の透を演じた道枝駿佑さんですが、カッチンは彼の演技を見たのがたぶん初めてだったんですよね。
もちろん存在は知っていて顔と名前は認識していて「性格良さそうだな~」と見た目から勝手に想像してました。
たぶん多くの人が共感してくれると思うんですけど、道枝駿佑さんってすごく優しそうな雰囲気をまとっているじゃないですか?
さらに日本代表みたいな透明感を持ってると思うんですけど、そんな彼の特徴が透という役にピッタリでした。
透は真織に対してはもちろん、家族にも友人にも誠実で献身的で、「現実の世界でこんな奴いるか?」と思ってもおかしくないキャラなのに、不思議なぐらい違和感を感じなかったんです。
劇中で心臓が原因で急逝してしまうわけですけど、この展開が結構急なんですよね。
普通だったら「雑だなぁ」って感じてしまいそうなところなんだけど、道枝駿佑さんの透明感が説得力を持たせてくれたのか、不自然さをまったく感じませんでした。
終始抑えた演技をしていて、すごく見やすかったです。
抑えたまま感情を伝えるって大変なことだと思うので、普通に凄いと思いながら観てました。
2人の演技と纏っている雰囲気が、ストーリーにすごくマッチしていた印象です。
こういうジャンルの映画って、ほんの一歩間違えると演技がクサく見えちゃう危険性をはらんでいると思うんですけど、「クサいな」って1ミリも思うことなく映画を観終わりました。
ちょっとでもクサいって感じてたら、たぶん泣けてなかったでしょう。
福本莉子さんと道枝駿佑さんの演技力が素晴らしかったのはもちろんですが、監督の演出もやりすぎずな感じで絶妙なポイントを突いていた印象です。
あと、この主演の2人の家族がしっかり描かれていたのも、素敵な映画になった大きな要因だと思います。
丁寧に描かれた真織と透の背景
お互いの家族の描写がしっかりあったのも、深く感動させてくれた要因のひとつだと思います。
真織の両親は野間口徹さんと水野真紀さんが演じてるのですが、とにかく優しいオーラ満載でした。
野間口徹さんは喉壊してたんじゃないかって疑ってしまうぐらいセリフが少なかったんですけど、温かいお父さんのオーラをこれでもかと放ってて本当に素敵でした。
真織の親友の泉のおみやげにはしゃいでいるシーンも、演技がリアルゆえに面白かったです。
透はすでに母親が他界していて、もはや小説が書けなくなっている小説家の父親と暮らしていますが、この父親を演じる萩原聖人さんの枯れ具合がかなり素敵でした。
木村拓哉さんと共演したドラマ『若者のすべて』で尖尖りすぎてたことが話題になりがちな萩原聖人さんですけど、やっぱり素敵なお芝居するな~と改めて実感しました。
しかも亡くなっている母親が野波麻帆さんというキャスティングの豪華さ。
小説家として成り上がる透のお姉さんを演じた松本穂香さんも素晴らしかったです。
正直ってそこまで意識したことなかった女優さんなんですが、今回の映画で一気にカッチンの気になる女優さんに仲間入りしました。
仲間入りしたところで彼女にメリットはないんですが…。
お互いの家族が手抜き一切なしでしっかり描かれていたことが、作品に厚みをもたらして、主演の2人をさらに輝かせたことは間違いないでしょう。
それぞれの家族を演じた役者さんたち皆さん本当に素敵でした。
道枝駿佑さんも福本莉子さんを始めすべてのキャストが素晴らしかった『今夜、世界からこの恋が消えても』ですが、この映画のカッチン的MVPは泉を演じた古川琴音さんでした。
涙腺を破壊した古川琴音の演技
真織の記憶障害のことを学校で唯一知っている、親友の泉を演じた古川琴音さんですが、もう本当に素敵でした。
道枝駿佑さんと福本莉子さんの演技が素敵だったことが前提にあるのはもちろんですが、カッチンが泣かされたのは古川琴音さんが演じてるシーンばかりだったんです。
実は映画の序盤では、ほんのちょっとですけど「もしかして泉って透に惹かれちゃって、真織を裏切ったんじゃないの?」なんてことを思ってしまったんです。
そんなことを少しでも考えた自分をぶん殴ってやりたいです。
自分の時間を投げうってでも真織を支え続けて、トラブルがあれば自転車ですぐに駆け付ける姿には憧れすら持ってしまいました。
真織と透と同じように古川琴音さん演じる泉の家族も、少しですがちゃんと描かれているのもまたよかったです。
やっぱり背景があると人間性が見えやすくなりますよね。
昔からの親友という理由だけで献身的に真織を支え続ける泉ですが、この立ち位置のキャラクターって一歩間違うと非現実的なキャラクターになってしまうと思うんです。
見返りを求めずにそんな事をできる人って、現実世界でなかなかいないと思いますし。
でも古川琴音さんが作りあげて演じた泉というキャラクターは、どこか男勝りなところもあり、サバサバしている感じで。
媚びない性格だからこそ、親友を支えるために自分の人生の時間を厭わない面を持っていてもまったく違和感を感じませんでした。
たぶん泉を「THE・いい人」みたいなイメージで演じていたら、リアリティが全然出なかったんじゃないかと思います。
はしゃぐ時ははしゃぐ可愛い一面を持っているのも素敵だったしリアルでした。
いろんな面を持ってるのが人間ですからね。
透が亡くなったことを松本穂香さん演じるお姉さんから電話で告げられたシーンの演技も凄かったです。
ただカッチンがこの映画の中で1番泣かされたのは、透が臨んだ通りに日記から透の存在を消して、真織の記憶から存在を消したはずなのに、真織が透のデッサンを書き続けているのを見た時の古川琴音さんのリアクションでした。
口を手で抑えて泣くのをどうにかこらえようとするけど、どうしても泣けてきてしまう…という上質すぎる演技を目の当たりにして、カッチンは古川琴音さんと共にここで思いっきり泣いてしまいました。
映画とかドラマの泣くシーンって逆に醒めるきっかけになることも多いから、結構危険なシーンでもあるんですよね。
「泣かなきゃ」とか「泣こう」と思って演じているのが透けて見えると、一気に醒めてしまったりします。
これは演者だけじゃなくて演出の面も大きいと思います。
逆に「泣くつもりないのに泣いてしまった」とか「泣いちゃダメなのに…ダメだ我慢できない」っていう感じで泣かれると、見ていてもの凄く感動してしまうんです。
今作での古川琴音さんの演技は、まさにそういう感じだったんですよね。
強固な堤防も蟻の穴から崩れると言いますが、カッチンの涙の堤防は古川琴音さんにより見事に破壊されてしまったのです。
その後の福本莉子さん演じる真織に懸命に謝るシーンも泣かされるんですよね。
真織も泉を信頼してるしわかってるから、責めないのはもちろん、逆に「迷惑かけたね」って謝るのがまた泣かされるんです…。
古川琴音さんのポジションは助演だから、彼女の演技が道枝駿佑さんと福本莉子さんを輝かせたって考えるのが普通ですよね。
実際にそうだったとも思います。
でもカッチン的には、道枝駿佑さんと福本莉子さんの演技が、古川琴音さんをさらに輝かせたっていう印象だったんです。
そう思ってしまうぐらい古川琴音さんの演じている姿が強く印象に残っています。
悲しく切ないけど温かい映画
『今夜、世界からこの恋が消えても』は、普段こういったジャンルの映画を観ないし、観たとしても感動しないことが多いカッチンを、泣いてしまうぐらい感動させてくれる名作でした。
道枝駿佑さんと福本莉子さんと古川琴音さんをはじめ、キャストの方々の演技力も素晴らしくて、しかもそれぞれが役柄にもとっても合っていました。
そのおかげで違和感がまったくなくて、容易く物語に没入できました。
観終わった後に「人に優しくありたいな」と思わせてくれる映画です。
泣きたい時に観るのもおすすめです。
素敵な映画に出会えて、勧めてくれた人に感謝です。


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