カッチンの映画レビューの時間です。
今回レビューする映画は『ワン・バトル・アフター・アナザー』。
因縁のある元軍人に娘を狙われた元革命家の男が、豪快にテンパりながら愛する娘を救うために奔走する手に汗握る追走劇。
映画ファンにはたまらない贅沢さの限りを尽くしたヒューマンカオス映画です。
メガホンを取ったのはベルリン・カンヌ・ベネチアの3大映画祭で受賞歴を誇るポール・トーマス・アンダーソン監督。
名監督の元にレオナルド・ディカプリオとショーン・ペン、そしてベニチオ・デル・トロが顔を揃えた夢のような作品です。
カッチンは期待と興奮の渦の中、公開初日の1番最初の朝8時台の上映回で鑑賞しました。
※ここから先はネタバレを含みますので、まだ観てない人は鑑賞したら戻ってきてください!
真面目に観ると損をする映画?
『ワンバトルアフターアナザー』は、ディカプリオが元革命家の役で、ショーン・ペンがレオの娘を執拗に追いかける鬼の軍人という設定です。
この情報だけ知って、「きっとシリアスな映画だろう」っていう印象を持って観始めた人も多いのではないでしょうか?
ところがですね、この映画は冒頭からいきなり思わず噴き出してしまうシーンがあるんです。
それどころか『ワンバトルアフターアナザー』はある意味、終始コメディとも言える作品なんです。
ディカプリオ演じる若かりしボブが革命家の集まりに参加して、「何をするんだ?」「僕は何をすればいいだ?」って発言するシーンがありましたけど、
このシーンはボブという人間がどんな人間かを表している重要なシーンではあるんではあるものの、それ以上に信念というか思想のなさに思わず噴き出してしまいました。
しかも質問も答えてもらえなくて、「あんたは爆破だけしてればいい」って言われちゃいますし。
それなのに爆破に成功したら、何のために爆破したのかもわかってないのに、高揚感に包まれて雄たけびを上げながら奪取するディカプリオの姿を見て、終始クスクス笑っちゃいました。
しかもディカプリオってこういう演技が得意だから尚更おもしろんですよね。
ただですね、周囲のお客さんたちは全然笑ってなくて、この時点で「おや?」って思ってたんです。
さらにボブの奥さんが軍人ロック・ジョーに銃口を向けて、ロック・ジョーに股間の息子を元気にするように命令するクレイジーなシーンがありましたが、
初対面の相手に銃口を向けながらそんなことを命令するボブの奥さんも狂ってるし、命令通りに息子を元気にするロック・ジョーも相当狂ってるんですよね。
あまりのカオスさに「いったい何を見せられてるんだろう…」って思いながらニヤニヤしてたんです。
こんなイカれたやりとりを目の当たりにしてるのに、周囲のお客さんはスンとして一切笑ってなかったんです。
別にどこで笑うかは自由だから大した問題ではないんですけど、これって予告編とかCMが良くなかったんじゃないかって少し思ったんです。
シリアスな心構えで観に来ていたら、笑えるものも笑えなくなりますし。
実際笑うところなのかはわからないんですけど、カッチン的にすごく面白かったんですよね。
海外の映画館の観客の反応がちょっと気になります。
めちゃくちゃ笑ってそうなイメージなんですけどね。
際立っていたショーン・ペンのグロさ
ディカプリオ演じるボブは爆発物を制作する能力には長けているものの、思想などが全くと言っていいほどないんですよね。
野心に溢れまくってる奥さんと結婚してなかったら、革命家からすぐに足を洗っていたと思います。
実際に子供が産まれた時は「もうやめよう」って奥さんを説得してましたし。
このヤンチャすぎる奥さんは後々ロック・ジョーに捕まるんですけど、しばらくは逮捕されずに済むんですよね。
すべてはロック・ジョーがド変態っていう理由なんですけど。
この変態ロック・ジョーを演じるショーン・ペンの演技が上手すぎるんです。
キモいなんてもんじゃなかったです。
ボブの奥さんと関係を持ってたことが原因で、執拗に娘のウィラを追いかけることになるわけなんですけど、追跡劇にもとにかく変態さが溢れ出ていました。
「お前不死身なのかよ!」ってツッコみたくなるカーチェイス後のシーンなんて、歩いてるだけなのに夢に出てきうなされそうな演技を披露してくれてました。
『F1』のブラッド・ピットが歩いてくるシーンはあんなにカッコよかったのに…えらい違いでした。
そしてさらにキモかったのは、大事な面接の前にクシで髪をとかすシーンです。
ベロっとクシを舐めて唾を整髪料代わりにして髪をとかすんです。
限りなくクレイジーな行動で、観客の嫌悪感をマックスにしてくれてました。
しかも最後に息絶える様まで最上級にキモくて、ショーン・ペンの演技力にとにかく脱帽した映画でもありました。
負けてないディカプリオの怪演
そんなショーン・ペンのキモさに呼応するかのように半端じゃないのが、レオナルド・ディカプリオ演じるボブのテンパり具合でした。
かつて参加していた革命組織に連絡を取ったものの、合言葉をすっかり忘れてるだけでも面白いのに、取り次いでくれない相手に見事なまでの逆ギレまで見せてくれました。
しかもこの逆ギレが激ギレなんですよね(笑)
空手教室の先生の家で携帯電話を充電させてもらえないシーンも爆笑でしたし、やっと充電して電話したら、「逆探知された!」って1人で叫んでて、しかも完全に勘違いっていうオチまであって本当に最高でした。
このテンパったり狼狽する様子を、シリアスに演じるがゆえに面白いっていう絶妙な表現で楽しませてくれました。
大真面目に演じてるからこそ面白さが生まれるんですよね。
娘を何より大切に思ってる父親の愛にはホロリと感動させられて、不器用な父親像が素敵でした。
楽しそうに演じてたベニチオ・デル・トロ
ディカプリオとショーン・ペンの怪演でお腹いっぱいになってるところに、まともじゃない空手の先生を演じるベニチオ・デル・トロまで参戦してきます。
ボブの奥さんも相当狂ってから、登場人物みんな本当に狂ってるんです(笑)
この映画はまともな人を探す方が大変な気がします。
ボブの救世主的な存在になる空手の先生なんですけど、この人はどうして危険を冒してここまで協力したんですかね?
娘が通う空手教室の先生っていうだけの関係のはずなんですけど…。
この部分に関してはちょっと引っかかったままです。
単なる変わり者ってことでいいんですかね。
自宅のシーンだけ見ても普通じゃないことが一目瞭然なので、予想外の行動をしても不思議と違和感を感じなかったです。
デル・トロが隠し扉を閉めると同時に、絨毯がクルクルっと綺麗に敷かれるシーンが好きっていう人も多いんじゃないでしょうか?
空手の先生ということでお辞儀をしっかりしたり、空手教室に日本版のスーパーマンのポスターが貼られていたりと、嬉しい演出もいくつかありました。
ディカプリオがずっと「センセイ!」って呼び続けてるのも、面白くて最高でした。
ボブを車から飛び降りさせる時にはトム・クルーズの名前まで出して、警察に捕まる時には独特すぎるタコ踊りまで見せてくれて、出番はそこまで多くないのにインパクトが強すぎました。
ベニチオ・デル・トロ自身が最初から最後までとても楽しそうで、見ていてこっちまで楽しくなってしまいました。
ディカプリオの娘のウィラを演じたチェイス・インフィニティですが、なんとこの映画が長編映画デビュー作だったみたいです。
「嘘でしょ?」って言いたくなるぐらい堂々と素敵な演技を見せてくれていました。
162分と上映時間が長い映画だったんですけど、体感はそこまで長く感じませんでした。
長くは感じませんでしたが、「あっという間だった」っていうわけでもないです。
さすがにそれはないです(笑)
IMAXで観たんですけど、すごい臨場感で、特にカーチェイスのシーンは少し酔ったぐらい大迫力でした。
観る度に面白さが増しそうな映画なので、何回も観ていきたいと思います。
それではまた映画レビューでお会いしましょう。
カッチンでした。


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